『チャイニーズ・ライフ』
李昆武/フィリップ・オティエ 明石書店
中国人の漫画家が、自分の人生を通して描いた激動の時代を生きる中国の人々の姿。
上巻では、地方の共産党員の父のもとで恵まれた暮らしをしていた
小李が紅衛兵となり、その後軍に入るまで、
下巻では絵の才能を見込まれて新聞社に職を得て、
念願の党籍を得るまでを描いている。
文化大革命での紅衛兵の熱狂とその結果襲ってきたすさまじい飢餓、
その後急激な経済発展でみるみる豊かになる人々の生活。
寒さや飢えに苦しんだことも、教師を辱めたことも、
貴重な文物を破壊したことも、友だちを密告したことも、
振り返らずひたすら前に進むたくましさに圧倒される。
誰もが当事者だったために、文化大革命については誰も語ることができない。
あまりに辛いことは思い出したくないと小李は作中で語っているが、
いつの日か続編に描いてほしいと思う。
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